とうふ、おいしいね。

世間の荒波でサーフィンできるようになりたい。

人に恵まれてるっていう話(4)恩師はイケメン釣瓶さん

思えば中学生くらいから自分の進路を決めていたように思う。
高校は家庭の事情で選んだ。
大学に進めと言われていたが、美術大学はどこも遠いってんで、一応電車で通える距離の専門学校に進むことにした。
高校でコンクールなどに積極的に応募していい子ちゃんを演じて推薦枠ゲット。
するするっと専門学校へ進むことが出来た。

自分が入った当時は人数が多かったためか2クラスに分かれていた。
それぞれが40人くらいいただろうか。
メインで担当の先生が2人いる。
その人こそ私の将来の方向性を決めるキーマンだった。
面長の釣瓶さん似で声は渋いけどなんか雰囲気が釣瓶さん。歳は40代くらい。スマートな釣瓶さん。

 


技術的なアドバイスを実践させながら指導してくれる、私にはやりやすい先生だった。授業のほかに、先生の紹介で本職の方のアシスタントをさせて頂いて短期アルバイトをしたり、今となっては超貴重な体験をさせてもらった。

家庭の事情で自分は1年しかその専門学校に居られなかった。
最後の1か月は先生から今後の方針と将来設計についてアドバイスを受けた。

「入学式にも言ったと思うけど、他の生徒もそうだけどお前は金の卵なのね。それを磨くか孵化させるか腐らせるかはお前次第なの。」
「俺はお前を谷の底にとりあえず突き落とす。根性だけはあるからお前は大丈夫だと思う。」(のちにきつい会社を斡旋してもらう)
「どんだけ苦しくても辛くても、3年間はしがみつけ。その先は好きにすればいいし、その間に見えてくるものもあると思う」
「生徒と番号交換はしないんだけど特別にしてやる。でもかけてくるなよ。おまじないだと思っておけ」
「やりたい事と好きな事はちがう。だから、何があっても技術を磨け。1ミリでも進めていたら実力は自ずとついてくる。」


とありがたい言葉をもらったのでした。
この言葉は今でもずっと頭の片隅に鎮座しております。

電話は会社を辞める時にお礼としてかけた。
ものすごく慌てた様子で「がんばれよ」と一言いただいた。
何故慌てていたんだろうと思ったら、学校の元締めがお金を持って逃げたらしく学校の存続自体がピンチになっていたその最中だったらしい。
当時ニュースにもなったからご存知の方もいるかもしれない。

結局、その電話を最後として先生と連絡がつくことはなかった。
でもかけてもらった言葉で今も前を向いて歩いていけるようなそんな感じ。


一言声をかけることができるならば、
私はあの当時から相変わらずですよと伝えたい。