とうふ、おいしいね。

世間の荒波でサーフィンできるようになりたい。

自分の命を差し置いてまで大事な用事ってあるのかな(8)

 前回の↓

sakutan3.hatenablog.com

 

戻ってきた理由は二つ。
夫の誕生日を祝ってあげたかった。(それが終わったら帰るかも?)
まだもう少し信じて側に居たい。(でもでも家族は揃って居たい)

仲を取り持ってくれた友人と取り交わした約束に則って鍵を渡してくれるように頼んだ。
だが断る
少し距離を置こうねという話もこれまで以上に距離がなくなった。
というより自分の家なのになぜ帰るのに知らせなければならないのか、自分にも権利はある!というような事を湿った綿に含ませて投げつけてくる。

またこれで同じ日々が続くのかしら。
もう少し長い目で見て、まだ命の危険があるわけじゃない。
と、そう思っていた。今思い返せば十分危険だと思うけどね☆

日々夫の感情に振り回され、自分の気持ちを見失ってしまった事によって睡眠障害になってしまったので心療内科にお世話になることになった。メンタル弱い。
心療内科のお医者さんには事情を説明したところ、
「あなたは帰れる場所があるなら帰ったほうがいい。躁鬱はうつりやすい病気でもある。それによってあなた自身が今度は自分を傷つける事になる。」
とアドバイスを受けた。
お医者さんにそんな事を言われるとは意外だった。

そんなこんなで夫の誕生日を迎えた。
プレゼントは寝る時寝返り打つのにも痛みが酷かったり床ずれをしないようにとても良いパジャマを購入した。薄給なので来月はもやし生活だわ…というくらいのものを贈らせてもらった。
とてもよい雰囲気で和やかに過ごした。

病院の検診を迎えた。
状況はあまり芳しくない様子だった。
以前からあった肺へ転移したがんが大きくなっていた。
それも年齢が若い事もあってかスピードが速い。
これまで以上に焦りがあったと思う。
これまで以上に束縛や監視が増えていった。

会社に居る時頻繁に電話がかかってくるようになった。
死への恐怖が刻一刻と迫る中、自分を差し置いて仕事に打ち込む姿が憎らしくなるのもわかる。体が動かなくなる事による苛立ち、悲しみ、それらをぶつけてくるようになった。
それはそれで構わなかった。弱音はどんどん吐いてほしかった。
吐けば楽になる。そう思っていた。
でも、それは私に対する憎しみでもあることにはまだ気が付いていなかった。

ある時仕事で頭がめいっぱいになっている時、夫からのLINEへの返答が遅くなった。
それは、シルバーウィークの前日だったと思う。
たくさんメッセージが来ていたのだけれど全て返すことが出来なかった。
子供を保育園に迎えにいかねばならなかったので、車を走らせているとどんどんメッセージが届く。
これは何か緊急の用事かな?と思ったら、
以前のキレモードの夫に戻ってしまっていた。

自分の兄弟の夫君は働いていてもあいさつに来るがお前はなんだ。何様のつもりか。
みんな忙しくても自分の用事を差し置いてでも仲良くしようとしている。
みんなと同じように出来ないなら、実家へ帰れ。
義父母ともにお前とは縁を切りたがっているからな。覚悟しておけ。

と。
言っている事は一理ある。
あまり私が行くことで義実家は良い顔をしないと夫から言われていた。なるべく距離を置こうと、頼らないようにとしていた。だがそれが間違いであったと。
言っている事がちぐはぐで今でも考えると頭がよからぬ方向にループする。
つまり、これが躁鬱の特徴なのだという。悲劇以外の何物でもない。

そして、額面通りに受け取ってしまった私は
以前の包丁ぶっ刺し事件の事を思い出して思いっきり吐いた。
もうたぶん、元には戻れない。
自分自身も夫自信も。
これ以上いたら誰かを傷つけるまで止めないかもしれない。
自分を完全に見失ってしまった。

次の日から子供と逃亡生活が始まりました。


(あともうちょっと続く)